Futures (2004/10/19) Jimmy Eat World ★★★★★ Amazonで詳細を見る |
アメリカのオルタナティブ・ロックバンド、Jimmy Eat Worldの5枚目のアルバム。
ラウドなサウンドから静謐で穏やかな芸術性の高いサウンド、哀愁や激情など人間の様々な感情を込めたヴォーカルなど全てか素晴らしく、全ての人に聴いて欲しい名盤。
エモーショナル・ハードコアというパンクから派生したジャンルの代表格とされるバンドであるが、アンダーグラウンドとメインストリームの良質な部分を併せ持つサウンドを鳴らす。
Futures
1. Futures (3rd single)
★★★★☆イントロや間奏での、グランジを思わせるギターリフが印象的な曲。歌唱のバックグラウンドで鳴っているギターも工夫が多く、繰り返されるフレーズがノイジーであったり、機械音のようであったりとパターンが変化し、どれも洗練されている。全体的にエッジの効いた曲だが、美しく重ねられるコーラスや曲の後半の穏やかな歌唱部が、曲に透明感を与えている。
2. Just Tonight . . .
★★★☆☆アップテンポの曲。この曲もまた、バックグラウンドのギターが創意に溢れていて、一つのフレーズで多様な音を表現している。サビの一部分では、囁き声だったり、音程をずらしたりと変化するセカンドボーカルが重ねられていて、曲を奥行きのあるものにしている。しかし、全体にわたって繰り返されるコーラスがいまいち。
3. Work (2nd single)
★★★★★【Music Video】 【歌詞和訳】
美しく哀愁溢れる曲。若き日の感情を情緒的に歌い上げる歌声は、感傷を誘う。リードボーカルは極めてエモーショナルで際立っているが、淡々とした調子で重なるセカンドボーカルもまた存在感がある。穏やかな調子の高音で歌われるバッキングボーカルは、曲に透明感や広がりを与えている。
誰にでもある、青春時代を思い出したときのようなもの哀しさを呼び起こさせる、感情動かされる名曲。
またこの曲では、オルタナティブ・ロック/ポップのシンガーソングライター、リズ・フェア(Liz Phair)をバッキングボーカルとして迎えている。
4. Kill
★★★★★【歌詞和訳】
全体を通して、生音のようなギターの弦の音が美しく、叙情を含んだメインボーカルが心地よい。激情を込めるだけがエモーショナルではないことを教えてくれる歌声は、いつ聞いてもそれぞれの感情の深い部分に響くはず。エモコア至上最高の楽曲。
5. The World You Love
★★★★☆穏やかで美しい煌めくようなサウンドとノイジーな盛り上がりが交互に現れ、曲は進行していく。進行するほど高頻度で重ねられていくコーラスは、ヴォーカルよりもエモーショナルであり美しく響く。曲のラストでは、ヴォーカルサウンドにも感情的な色合いが増していき、ラウドなサウンドと相まって、サウンドは最高潮に達する。
6. Pain (1st single)
★★★☆☆【Music Video】
ラウドなサウンドに激情的なヴォーカルが乗せられた楽曲。エッジの効いたギターサウンドが印象的である。
7. Drugs or Me
★★★★☆【歌詞和訳】
美しいバラード曲だが、バックグラウンドで微かに聞こえるノイズギターが、オルタナティブ・ロックを代表するこのバンドの奥深さを示す。重ね合わされるストリングスやコーラスは絶妙で、芸術性が高い。穏やかで囁くようなヴォーカルは美しく、ラストには静謐でありながら激情的に響き、感情を揺さぶる。
8. Polaris
★★★★★【歌詞和訳】
物哀しく歌い上げられたヴォーカルサウンドと、鐘のような音色を鳴らすギターサウンドが美しい名曲。音の構造は複雑で、細部まで工夫に凝らされている。
9. Nothingwrong
★★★☆☆エッジの効いたラウドな楽曲。後半に差し込まれるアバンギャルドなサウンドがエキサイティング。
10. Night Drive
★★☆☆☆ゆるゆると進行する平坦なサウンドだが、進行するに従いサウンドは分厚くなると共に、拍手や囁き、合唱的コーラスやスクリームなど、様々なサウンドが付け加わり曲に華を与えている。
11. 23
★★★★★【歌詞和訳】
1分30秒続く長いイントロは、それだけで人間の一生が語られているかのように壮大。イントロを抜けて絞りだすように始まるヴォーカルも、バックグラウンドに響く美しいサウンドも全てが素晴らしい。盛り上がりの今にも感情が溢れてきそうなヴォーカルの声に、涙が溢れてきそうになる。
12. Shame
★★☆☆☆グランジ的サウンドを鳴らすローテンポな楽曲。
13. When I Want
★★☆☆☆煌めくギターサウンドが特徴的なゆったりとした爽やかな楽曲。
14. You
★★☆☆☆ラウドに息つく間もなく進行する楽曲。
感想
この作品は、3年越しで聞き続けられる奥深さがあります。私は、序盤の『Work』と『Kill』を飽きもせずに2年間以上聞き続け、その後『Drugs or Me』、『Polaris』、『23』の素晴らしさを再発見して現在まで聞き続けています。関連情報
アルバム名 | Futures |
アーティスト名 | Jimmy Eat World |
発表 | 2004/10/19 |
評価 | ★★★★★ |
メンバー | Jim Adkins, Rick Burch, Zach Lind, Tom Linton |
プロデューサー | Gil Norton |
関連リンク
Amazonへのリンク |
iTunesへのリンク |