Immersion
(2010/05/21) Pendulum ★★★★★ Amazonで詳細を見る |
オーストラリア・イギリスのバンド Pendulum のサードスタジオアルバムで、英国レコード産業協会からゴールドディスク認定(10万枚)されている。【BPI】
ボーカル、MC、DJ、ギター、ベース、ドラムから成り、その音楽性はダブステップ、アンビエントハウス、ドラムンベース、エレクトロロックに分類される。【ウィキペディア:ペンデュラム、Wikipedia: Pendulum】
そのサウンドには Prodigy や Nine Inch Nails などの色濃い影響が感じられるが、環境音楽的サウンド、ノイジーなエレクトロニックサウンド、疾走感を演出するブレイクビーツから構成された音背景は独創的。しかしなにより美しいメロディと伸びのあるクリーンなヴォーカルが秀逸。
特に本作 Immersion は、シンフォニックロックのコンセプトアルバムのような壮大さを持ちつつも、ロックに極めて接近した作品である。また、Prodigy のLiam Howlett、デスメタルバンド In Flames 、プログレッシブサウンドクリエイター Steven Wilson との共作を含み、アルバムのスペクトルを広げている。
ダブステップ:ダブステップとは、エレクトロニックダンス・ミュージックの一種で2ステップ、ドラムンベース、ジャングル、ダブ、レゲエなどから派生した音楽ジャンルである。特徴として、密集したベースラインにエコーなどで強くエフェクトし反響したドラムパターン、間欠的なサンプリングサウンド、そして不規則に挟まれるヴォーカルなどがある。【ウィキペディア:ダブステップ、Wikipedia: Dubstep】
ダブ:ダブとは、レゲエのリズムを強調、ミキシングし、エコーやリバーブなどでエフェクトした楽曲やサウンド。【ウィキペディア:ダブ】
アンビエントハウス:アンビエントハウスとはアシッドハウスとアンビエントミュージック(環境音楽)のミックスであり、ダウンテンポで幻想的なムードを持つ音楽のこと。【ウィキペディア:アンビエントハウス、Wikipedia: Ambient house】
Immersion
1. Genesis (Instrumental)
【YouTube】深海や宇宙空間を感じさせる拡がりのあるサウンド。
スペース・オペラのイントロダクション的おもむき。
2. Salt In The Wounds (Instrumental)
★★★★☆【Music Video】
音響空間を爆走するブレイクビーツとリズムを刻む鋭利なエレクトロニックサウンドから構成されたインストゥルメンタル。
3. Watercolour (1st single)
★★★★☆【Music Video】 【歌詞和訳】
壮大に始まるドラマティックな楽曲。美しいメロディと伸びのあるヴォーカルサウンドがイントロダクションを通過し、そしてそれに重ねられるブレイク・ビートが曲に秩序だった疾走感を与える。
秀逸な旋律と歌声に重ねられた疾走感のあるブレイク・ビートという構成を持つ本曲は、Pendulum の真価が顕在化した楽曲。
4. Set Me On Fire
★★★☆☆【YouTube】 【歌詞和訳】
ダブステップ的楽曲。電子的に創作された複雑なリズムを幾層にも重ね、哀愁がありつつも物憂げな美しいメロディのパートとダブミュージック的ヴォーカル部をノイジーなエレクトロニックサウンドで結合わせた楽曲。
レゲエシンガー・Cocoa Teaの『We Do The Killing』がサンプリングされている。【Pendulum – Set Me On Fire Lyrics: Genius Lyrics】
5. Crush (4th single)
★★★★★【Music Video】 【歌詞和訳】
広大な宇宙空間を疾走する巨大なノイズの塊を思わせる楽曲。本曲はノイジーなギターサウンド、生ドラムのブレイクビーツ、一定に刻まれるシンメトリックなエレクトロニックサウンド、そして哀愁を帯びたヴォーカルメロディーから構成され、無機的にしかし極めて秩序だって空間を疾走しているかのように感じられる。
ほんとにかっこいい曲で、アコースティックサウンドとエレクトロニックサウンドの組み合わせがいい。
6. Under The Waves
★★★☆☆【YouTube】 【歌詞和訳】
美しい電子サウンドと断続的に差し込まれるノイジーなエレクトリックサウンドを重ね、タイトなドラムサウンドとブレイクビーツでロックにアプローチした、アンビエントミュージック。
7. Immunize (feat. Liam Howlett)
★★★☆☆【YouTube】 【歌詞和訳】
Prodigy のDJ、Liam Howlett が参加した楽曲。間奏的に Pendulum のエレクトリックサウンドが組み入れられた Prodigy 的ラップサウンド×ブレイクビーツ。
8. The Island - Pt. I (Dawn) (3rd single)
★★★★★【Music Video】 【歌詞和訳】
機械に通されたノイジーなパイプオルガンのようなサウンドとブレイクビーツをバックグラウンドとした、伸びのあるヴォーカルが印象的な楽曲。どこまでも尾を引く旋律とヴォーカルが空間を無限に伸びていくかのように感じられる。
9. The Island - Pt. II (Dusk) (3rd single)
★★★☆☆【YouTube】 【歌詞和訳】
Pt. I の続きで、Pt. I のサウンドを変則的にミキシング。
10. Comprachicos
★★★☆☆【YouTube】 【歌詞和訳】
Pendulum のエレクトロニックサウンドが組み込まれた Nine Inch Nails 的楽曲。
11. The Vulture
★★★★☆【Music Video】 【歌詞和訳】
間奏的に Pendulum の疾走感のあるサウンドが差し込まれた Prodigy 的サウンド。
12. Witchcraft (2nd single)
★★★★★【Music Video】 【歌詞和訳】
哀愁を帯びたヴォーカルの旋律で導入し、秀逸なメロディをノイズ×ブレイクビーツに乗せた楽曲。
疾走感のある Linkin Park のアンセムといった趣で、Pendulum サウンドの完成形。
13. Self vs Self (feat. In Flames)
★★★★☆【YouTube】 【歌詞和訳】
デスメタルバンド In Flames のサウンドが半端なく調和した凄まじい楽曲。ノイジーなブレイクビーツサウンドへ重ねられたメタルリフ、スクリームヴォーカルとの掛け合い、共に完璧。
14. The Fountain (feat. Steven Wilson)
★★★☆☆【YouTube】 【歌詞和訳】
美しいメロディを持った楽曲で、Steven Wilson との共作だけあってサウンドクリエイトが凝っている。
15. Encoder
★★★★★【Music Video】 【歌詞和訳】
エレクトロニカとして最高にサウンドクリエイトされた、終局を飾るにふさわしいドラマティックな楽曲。
ドラマティックなアンビエントミュージックに、秀逸なメロディのヴォーカルサウンドを乗せたクオリティの高い曲。
感想
すごいハマりました。前作『In Silico』もいいんですが、本アルバムの完成度は抜きん出ていると思います。『Crush』と『Watchcraft』はハイテンポな楽曲の完成形で、『Encoder』はアンビエント・ミュージックとロックのミックスとして最高の出来であると思います。関連情報
アルバム名 | Immersion |
アーティスト名 | Pendulum |
発表 | 2010/05/21 |
評価 | ★★★★★ |
メンバー | Rob Swire, Gareth McGrillen, Peredur ap Gwynedd, KJ Sawka, Ben Mount, Paul "El Hornet" Harding |
プロデューサー | Rob Swire, Gareth McGrillen |
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