Meteora (of Linkin Park)

Meteora
(2003/03/25)
Linkin Park
★★★★★
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アメリカのロックバンド Linkin Park のオリジナルセカンドアルバムで、アメリカレコード協会から4.00Xマルチプラチナディスク認定(400万枚)された。【RIAA

ディストーションの効いたギターリフに特徴づけられるロックミュージックとラップミュージックを融合させたサウンド。そして、激しくもキャッチーなメロディで歌いあげられるチェスターの歌唱と、マイク・シノダの抑えた調子で理知的に吐き出されるラップの掛け合い。前作『Hybrid Theory』の延長線上にあり、これを完成させたラップメタル/ラップロックの一つの到達点。


Meteora

1. Foreword

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降りしきる雨の中で鉄格子が落ちる。そんなサウンドで幕開ける、次曲に接続するイントロダクション。

2. Don't Stay

★★★★☆
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ディストーションの効いたギターサウンドの轟音は雷雲に包まれるような心象を与え、クリーンボイスと荒々しくも洗練されたチェスターのシャウトが交互に展開する。

バックグラウンドに一定のリズムで刻まれるデジタルサウンドとドラムのハイハットによる緊張感が曲全体を覆う。

3. Somewhere I Belong (1st single)

★★★★★
Music Video】 【歌詞和訳
壮大な物語が幕開けるかのようなオープニングから、マイク・シノダの抑えたラップが接続し、エモーショナルを湛えながらも憂いを帯びたチェスターのヴォーカルが続く。

バラード的でありながらどこまでも激しく、どこまでも美しく、内に秘めた炎は煌めくように滲出する。

4. Lying from You

★★★★☆
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訥々と刻まれるマイク・シノダのラップを破壊するように、チェスターのシャウトが挟み込まれ、激烈なエモーショナルが曲全体を覆う。

それは落ち着きと緊張を交互に展開しながら聴くものに、重大な様相を突き付け終曲する。

5. Hit the Floor

★★★★☆
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ラップとシャウトの激しい移り変わり。ストップアンドスタートの極限。一定に鳴り続く心音のようなサウンドとそれを破るエッジ。

ラップとシャウトによる静と動の完成した形。

6. Easier to Run

★★★★☆
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傷ついた男が雨に打たれ佇む情景。それと同時に宇宙的な広がりの中にある一人の人間の物語を表現しているようにも感じさせる。

それは、透明感のあるどこまでも続く空間のようでありながら、人間というミクロコスモスを同時に描いているようにも思える。

そんな、どこまでも壮大でドラマティックなバラード。

7. Faint (2nd single)

★★★★☆
Music Video
疾走するオリエンタルなバックグラウンドに突如降り注ぐ雷雲のようなノイジーなギターサウンドで幕開ける。

追い詰めるようにまくし立てるラップと荒々しいチェスターのヴォーカルが交互に展開する、流れるようでありながら明確な輪郭を持ったサウンド群の結合。

8. Figure.09

★★★★☆
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メカニカルなノイズの嵐。0と1を紡ぐように吐き出されるラップ。デジタル化されたパッションを空に放り出すヴォーカルサウンド。バチバチと跳ねる騒音の巨大な球体を思わせる楽曲。

9. Breaking the Habit (5th single)

★★★★★
Music Video】 【歌詞和訳
洗練された爪弾くようなギターサウンドと疾走感を生成するリズム、そして場を美しくクリアに吹き抜けるエレクトリックサウンドをバックグラウンドに、丁寧にしかし情緒的になぞられる極上のチェスターの歌唱メロディ。

卓出した歌唱を前面に押し出した、天啓とも言うべきメロディを持った名曲。

10. From the Inside (4th single)

★★★★★
Music Video
磨き上げられシステマティックに計算され配置された平静たる情緒と激情、理性を表現するような訥々としたラップ、完全に制御された静と騒を表現するラウドロックの珠玉の楽曲。

11. Nobody's Listening

★★★★★
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これは能のバックグラウンドサウンドだろうか、不定に律動する尺八の風雅なメロディと機械的なラップのリズムを邂逅させた圧迫感のあるエッジの効いたヒップホップ。

12. Session

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明感のある空間を大きく拡張していくサウンドに、回廊を走り抜けるようリズムが刻まれるインタールード。

13. Numb (3rd single)

★★★★★
Music Video】 【歌詞和訳
バックグラウンドサウンドとメロディはバラードのように静的でありながら、激しくノイジーかつエモーショナルで、聴くものの心を揺さぶり奥底に響く。

平凡ながらも、シリアスに訴えかける最高のメロディを持ったロックミュージックの名作。


分析

『Hybrid Theory』によってラップメタル全盛の波の乗り、非の打ち所のない作品『Meteora』によってこれを終焉させたターニングポイントともいうべき作品だが、Linkin Park の後の作品の方向性を示唆する萌芽的サウンドクリエイトが随所にみられる。

それは『Somewhere I Belong』のオープニング、『Easier To Run』や『Faint』そして『Breaking The Habit』のバックグラウンドで聴くことができ、そこでは壮大さを演出するエレクトロニック・サウンドがサウンドクリエイトに援用されている。


感想

捨て曲なし。計算しつくされた楽曲群。それでいて楽曲のメロディは古典の名曲のように響き、懐かしささえ感じる。そんな、ある種の到達点ともいうべき作品。


関連情報

アルバム名 Meteora
アーティスト名 Linkin Park
発表 2003/03/25
評価 ★★★★★
メンバー Chester Bennington, Mike Shinoda, Brad Delson, Dave Farrell, Rob Bourdon, Joe Hahn
プロデューサー Don Gilmore, Linkin Park


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